1974年上映のイタリア映画『愛の嵐』(英題: The Night Porter)。
「ナチス親衛隊のオーストリア人将校・マクシミリアンと、元捕虜のユダヤ人少女・ルチアの倒錯的な愛」を描いたこの作品は、
「犠牲者のはずのオーストリア人が、他ならぬ加害者(ナチス)の立場としてユダヤ人を侵害している」と問題視され、オーストリア国内で上映禁止処分を受けました。
そんな本作ですが、いくつかのセンセーショナルなシーンでも有名です。
今回はそれらのシーンのうち、将校からユダヤ人少女に生首が渡されるという衝撃のシーンを取り上げたいと思います。
『愛の嵐』の中で、生首が将校からユダヤ人少女へ渡されたシーンの意味とは?
また、『愛の嵐』を観られる動画配信サービスについてもまとめました。
愛の嵐(映画)で生首がルチアに渡されたシーンとその意味は?
愛の嵐(映画)で生首が少女・ルチアに渡されたシーンとは?
「生首がユダヤ人少女に渡された意味は?」というお話の前に、「愛の嵐」の映画のあらすじと、生首のシーンについて簡単に。
あらすじを飛ばして「生首が渡された意味」について読みたい方は、
「愛の嵐(映画)で生首がルチアに渡された意味とは?」←こちらをクリックしてスキップしてください。
■『愛の嵐』あらすじ
1954年、ウィーン。
かつてナチス親衛隊の将校だったオーストリア人のマクシミリアン(マックス/ダーク・ボガード)は、今はホテルの夜間フロント係として生計を立て、身を隠していた。
しかしある日ホテルに訪れた有名オペラ歌手の妻を見て、マックスは驚愕する。
その妻は、かつてナチス将校時代に自分が性的に弄んだナチス人捕虜少女・ルチア(シャーロット・ランプリング)だった。
一方、マックスのホテルにかつての将校たちが集まる。
ナチ残党狩りから逃れるためにナチス時代の悪事を揉み消しあい協力していた彼らは、図らずもルチアについて言及する。
それを盗み聞いたルチアは身の危険を感じ、逃げる準備を始めるが、そこへマックスがやってくる。
「なぜここに来た!」といきなりルチアを殴りつけるマックス。
しかし彼女の腕に残る囚人の入れ墨を目にした瞬間、当時の記憶が蘇り、腕に口をつける。
振り払い抵抗するルチアだったが、もみあう内、気づけば2人は身体を重ねていた。
そして禁断の愛に火が付いた2人は、再び倒錯した愛憎に身をやつすことになるのだった・・・
問題の生首のシーンは、マックスが将校・ルチアが捕虜だった時代に出てきます。
強制収容所で、親衛隊員たちが欲の限りを尽くした退廃的なパーティを開いていました。
ルチアは、上半身だけ脱いだナチス軍服に長手袋という恰好で歌い踊ることを強いられ、心を殺して演じ切ります。
するとマックスは、「褒美を授ける」と言い、ルチアの前に箱を持ってこさせます。
期待に胸を膨らませながら箱にかかった布を持ち上げるルチアでしたが、入っていたのはなんと・・・
人間の生首でした。
その生首の主は、ルチアと同室の捕虜。
嫌がらせをしてくるから遠ざけてほしいとルチアが訴えていた捕虜でした。
遠ざけてほしいとは言ったが、まさか殺して首まではねるとは・・・
恐ろしさに顔を引きつらせるルチアと対照的に、冷笑を浮かべるマックスのこのシーンは、
この作品に横たわる耽美と狂気を象徴するようなシーンとなっています。
愛の嵐(映画)で生首がルチアに渡された意味とは?



素晴らしいパフォーマンスをした娘に「褒美をとらせよう」と言って、娘が苦々しく思う男の首を持ってこさせる。
というこの生首のシーン。
すごい既視感がありますが、それもそのはず。
新約聖書の「マタイによる福音書14章」に出てくる、あの有名な「『ヨハネの首を踊りの褒美に』と申し出たヘロデヤの娘」の話とそっくりです。
この話は、以下のように伝えられています。
古代イスラエルの領主・ヘロデ王は、兄弟の妻だったヘロデヤを妻に娶ろう(つまり略奪婚)と考えていた。
しかし神の子・イエスの弟子であったヨハネは、「その女は娶るべきではない」とヘロデ王に忠告する。
ヘロデ王は絶大な権力者であり、ヘロデヤにとっては願ってもない出世のチャンス。
その邪魔をするヨハネを憎々しく思うヘロデヤだったが、ヨハネは預言者として群衆に慕われていたため、手を出すことができなかった。
そんな中、ヘロデ王の誕生祝いの席でヘロデヤの娘(※サロメ)が舞を披露し、王をたいそう喜ばせる。
気分を良くした王はサロメに「褒美をとらせる。なんでも望みを言いなさい」という。
すると、ヘロデヤから何か耳打ちされたサロメは、「ヨハネの首を」と申し出る。
そして娘の前に、盆に載せられたヨハネの首が持ってこられる。
ヘロデヤは娘の大義にかこつけて、自分を邪魔するヨハネを排除することに成功するのであった。
※ヘロデヤの娘は「サロメ」という呼び方が有名だが、聖書には名前が書かれていないため、実は本当の名前は不明。
ここではわかりやすく「サロメ」と表記している
『愛の嵐』のルチアの立場は、ちょうどこの「ヘロデヤの娘・サロメ」と同じです。
サロメはルチアと同じユダヤ人(※正確には古代イスラエル人ですが、今のユダヤ人のルーツです)。
ルチアが上半身裸で踊る様も、このヘロデヤの娘・サロメの絵画のひとつと重なります。
また、『愛の嵐』で生首となってしまった捕虜男の名前が「ジョン」というのも注目です。
「ジョン」は、国によって名前の発音が変わります。
英語 | ジョン |
フランス語 | ジャン |
イタリア語 | ジョバンニ |
ラテン語 | ヨハンネス |
ドイツ語 | ヨハン |
ポルトガル語 | ジョアン |
そして、ユダヤ人の言語・ヘブライ語では、ヨハネという呼び方になります。
つまり生首になった捕虜は、首をはねられ、サロメにその首が差し出された預言者ヨハネと同じ名前であることがわかります。
こうした共通点から、ルチアのシーンはこの福音書14章の話から着想を得たことが容易に想像できます。
この前提を踏まえて、この「生首シーン」を入れた意味について考察していきたいと思います。
一見、マックスの狂気を誇張するための演出のようなこのシーン。
再会後の2人の共依存関係を見ると、
この生首シーンがルチアの「心の変化」に重要な役割を果たしているのが見えてきます。
マックスが生首を褒美としてルチアに授けるシーンは、
「ルチアの望みを極端な方法で叶えることで、彼女への愛がいかに大きいかを表現した」
とも見ることができます。
(その「愛」は非常にいびつではありますが・・)
最初こそ、ルチアにとってマックスはただ従うしかない恐怖の対象でしかなかったのですが
マックスから「好きな女が憎む相手を抹殺する」という強烈な方法で愛を伝えられたルチアは、
13年たっていても、主従関係がすでになくなっていても、再会した瞬間に再燃するほどマックスの虜になるのです。
支配者から玩具のように理不尽な扱いを受けた女性が、主従関係が解消されたあとも支配者を愛し続ける
という極めて異端な状況を成立させるため、
この「生首シーン」は、これ以上もないほどの演出だったのではないかと思います。
そしてサロメの生首の話をオマージュしたのは、
一見無垢な少女にも、実はサロメと同じ狂気が潜んでいる、ということを暗示する意図もあったのではないかと思えます。
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