沖縄の美ら海水族館で、展示されずひっそり暮らしていたイソギンチャクが、実は新種だったと判明し話題になっています。
そこで、イソギンチャクの寿命はどれぐらいなのか?そもそも動物なのか植物なのか?
餌や天敵、種類などの生態について調べてみました。
イソギンチャクの寿命はどれぐらい?
今回新種と判明するまで、美ら海水族館で15年間ひっそりと暮らしていたチュラウミカワリギンチャク 。
「意外と長生きするんだな!」と思われた方もいるのではないでしょうか。
実は、イソギンチャクの寿命についてはよくわかっていないようです。
これは、年齢を調べるための材料(木の年輪や魚の耳石のようなもの)がないためだと言われています。
しかし、海外の水族館でウメボシイソギンチャクが少なくとも70年以上は生存していたという情報もあり、数百年生きるものもあるのでは?と言われています。
美ら海水族館の新種くんも、まだまだ長生きしそうな感じがします。
イソギンチャクは動物か植物か?
ところで、イソギンチャクって、そもそも動物なのでしょうか、植物なのでしょうか。
イソギンチャクは動物であると長年考えられてきましたが
2014年、ゲノムリサーチ(Genome Research)に発表された研究により
イソギンチャクは遺伝的に「半分植物で半分動物である」ことがわかっています。
えっどういうこと?!という感じですよね。汗
植物と動物は、生態から何から、ものすごく遠縁で全く別物のはず。
まず生物は、遺伝子情報を元に「細胞の核」と「たんぱく質」を合成しますが、その過程を専門用語で「遺伝子発現」といいます。
その「遺伝子発現」は、次の2つの段階を経て行われます。
●転写 ⇒ 遺伝子情報から「細胞の核」が作られる過程のこと
●翻訳 ⇒ 「細胞の核」から「たんぱく質」が合成される過程のこと
「細胞の核」は、リボ核酸、別名RNA。中学校の理科で出てくるやつです!
「なんだか難しい!」という感じですが、ものすごく簡単に言いますと、
イソギンチャクは、「転写」は他の動物と同じ過程、「翻訳」は植物と同じ過程で生成されるということです。
つまり、「動物として心臓(細胞の核)はあるんだけど、身体は葉っぱとか木(たんぱく質)!」みたいな感じですね。
すごい粗い例えですが。
イソギンチャクがリアルキメラ(※)のような生き物だったとは・・・
※キメラ・・・2種類の動物がひとつになった空想上の動物
イソギンチャクは、なんと6億年も前から地球に存在していて、都度環境の変化に適応させ、今まで生きているという凄い生き物です。
そんな気の遠くなるような年月を生き抜いてきた彼らにとって、たった15年種類がわからないぐらい、鼻くそほどどうでもいいでしょうね・・
イソギンチャクの生態は?
イソギンチャクの生態①:どこにいる?
イソギンチャクは、磯(石の多い海岸の波打ち際など)に張り付いています。
その磯に張り付いている姿が巾着に見えることから、「磯巾着」という名前になりました。
イソギンチャクの生態②:動くのか?
「イソギンチャクは動物か植物か?」で書いたように、イソギンチャクは見た目は植物ですが動物でもありますので、動くことができます。
天敵が現れた時や適した場所に移動したい時など、移動します。
移動の速度は非常にゆっくりですが、 中にはジャンプして動く種もあるようです。
イソギンチャクの生態③:餌は何を食べる?
イソギンチャクは、肉食です。
触手(ふよふよ漂っているうどんみたいな箇所)が太いものは、魚などを掴んで「丸飲み」
触手が細いものは、プランクトンなどを食べるようです。
イソギンチャクの天敵は?
イソギンチャクの天敵は、「ウミウシ」や「ヒトデ」。
イソギンチャクが醸し出す物質がウミウシやヒトデを誘ってしまうらしく、食べられてしまうということです。
イソギンチャクの種類と生殖方法
イソギンチャクは、世界中でおよそ800~1000種類ほどいると言われています。
イソギンチャクは動物でもあるため、オスとメスがいます。
ほとんどの場合、生殖方法は体外受精によって行われますが
中には、細胞分裂や出芽などの無性生殖(オスメスの区別がない)で子孫を増やす種もあるようですね。
イソギンチャクの触手には毒がある!
イソギンチャクの触手は、エサとなる対象個体を捕らえるため、毒が出るようになっています。
泳いでいる小魚などを毒で弱らせたところをパクっといって、消化できなかったものは、口からペッと出します。
ほとんどのイソギンチャクの毒は人間に影響を与えませんが、ウンバチイソギンチャク など非常に強い毒性を持ったものも中にはおり、触らない方がよいようです。
イソギンチャクと共生できるクマノミと藻類の互いのメリットは?
イソギンチャクの触覚には毒がありますので、触れると死んでしまう魚や捕食対象となってしまう魚などもいますが
毒に耐性があるカクレクマノミとは相性がよく、共生できます。
互いのメリットは、次のとおりです。
■カクレクマノミにとってのメリット
⇒イソギンチャクは、天敵から身を隠すための絶好の隠れ場である
■イソギンチャクにとってのメリット
⇒魚を側に住まわせることは、イソギンチャクの成長速度を速め、無性生殖率を増大させることにつながるようです。
研究で、魚を住まわせているイソギンチャクの触手の再生速度は、住まわせていないイソギンチャクよりも早いことがわかっています。
また、 褐虫藻と呼ばれる藻類とも共生しています。
互いのメリットは、以下のとおりです。
■イソギンチャクにとってのメリット
⇒イソギンチャクは、この藻が光合成によって得た栄養物を享受しています。
■藻類にとってのメリット
⇒イソギンチャクの側にいる魚の排泄物を栄養源として活用しています。
まとめ
イソギンチャクの寿命はどれぐらい?そもそも動物なのか植物なのか?
餌や天敵、種類などの生態についてまとめました。
ただぼーっと見ているだけで、なんだか癒されるイソギンチャク。
美ら海水族館の新種のイソギンチャクも、いつかは見に行ってみたい。