8月7日(金)よりいよいよ公開となった、「映画ドラえもん のび太と新恐竜」。
のび太と新恐竜のあらすじを振り返り、感想をまとめました!
※あらすじ以外の部分は、ネタバレを含みます。
ネタバレを目にしたくないという方は、ご注意ください。
「ドラえもん のび太の新恐竜」のあらすじ(ネタバレなし)
『映画ドラえもん のび太の新恐竜』大ヒット上映中!!ドラえもんたちと一緒に、恐竜時代の大冒険の旅を体験してください!! https://t.co/FdBmz4J13q pic.twitter.com/9VqOlT4lw7
— 【ドラえもん公式】ドラえもんチャンネル (@doraemonChannel) August 11, 2020
「ドラえもん のび太の新恐竜」と他の2作品との共通のあらすじ
ドラえもん映画で恐竜を題材にした作品は、
ドラえもん映画の第一作目「のび太の恐竜」、そしてそのリメイク版の「のび太の恐竜2006」。
今回の作品は第3作目となりますが、上記2作品とは別の物語となっています。
ただ、物語の導入となる部分、つまり
のび太が偶然恐竜のたまごの化石を発見し、タイムふろしきで時間を戻したところ、たまごから恐竜が返った。
どんどん大きくなる恐竜を現代社会で育て続けることに無理が生じ、のび太は恐竜の時代に戻してやるために、白亜紀に向かう
という部分は同じです。
その他のストーリーについては
途中、ドラえもん映画ファンの琴線に触れる仕掛けがあったり(後述します)
時に厳しい現実を目の当たりにしながらも諦めないのび太の成長など
涙腺崩壊な感動ポイントが満載でした!
では、「ドラえもん のび太の新恐竜」のあらすじを振り返り、感想をまとめていきたいと思います!
「ドラえもん のび太の新恐竜」のあらすじ
ストーリーの話に入る前に、恐竜の時代について。
恐竜時代は、三畳紀・ジュラ期・白亜紀 の3時代。
のび太たちがキューとミューを送り届けた時代は、まさに恐竜時代が終わろうという、白亜紀の末期です。
これを前提として、話を進めます。
恐竜博の化石発掘イベントで、たまごのような形の石を見つけたのび太。
それを家に持ち帰り、タイムふろしきで時間を戻し、生まれてきたのは、双子の恐竜。
のび太は、女の子の恐竜をミュー、男の子の恐竜をキューと名付けます。
活発で成長も早い女の子恐竜ミューに比べ、のんびり屋で身体も小さい男の子恐竜のキュー。
2匹を愛情深く育てるのび太でしたが、2ひきはあっという間に大きくなり、部屋の中で育てることが難しくなります。
そこでドラえもんは、天気や環境やサイズを自在に変えられるひみつ道具・ジオラマセットを出し、そこでしばらく2ひきを育てるのですが
すぐにそこで育てる事も難しくなり
のび太はキューとミューを恐竜時代に戻すことを決意し、タイムマシンで白亜紀を目指します。
しかしバランスを崩したのび太が誤ってタイムマシンの操縦台を触ってしまい、のび太たちが到着したのは、白亜紀の前のジュラ紀。
間違いに気づいてタイムマシンに戻ろうとしたところを恐竜に襲われそうになり、慌てたのび太は、ジオラマセットを落としてしまいます。
のび太の恒例のドジっぷりにイラっとする視聴者もいたかもしれませんが(何でいつも肝心な所でこけるんだ!という苛立ち・・)、これが、最後への大事な伏線となります。
そして何とか無事に白亜紀へ到着するのですが、キューたちと同じ恐竜がどこにいるのか、広い世界で検討もつきません。
そこで、キューたちの脚と同じ脚の形の恐竜がたどった足跡を見ることができるドラえもんの道具を頼りに、キュー・ミューの仲間たちを探す旅が始まります。
しかし、ディープインパクトの脅威がそこまで迫っていることに、のび太たちはまだ気づいていませんでした・・
というのが、大まかなあらすじです。
「ドラえもん のび太の新恐竜」の感想(ネタバレあり)
※以下から、物語のネタバレを含みます。
読みたくない方は、この見出しは飛ばしてください!
「ドラえもん のび太の新恐竜」の感想:ストーリー全体
全体のストーリーとして、
可愛くて仕方ないキューとミューや、
のび太とどこか似ているキューが、できなくても何度も何度も挑戦する姿、
溺れたのび太を助けるために「のび太の恐竜」で出てきたあのピー助が登場するなどのファンサービス溢れる仕掛けなど見所満載で
のび太がジュラ紀で落としたジオラマセットが、長い時を経て、実はキュー・ミューの仲間のいた島になっており
そのジオラマセットのおかげで歴史を左右するキューとミューとその仲間たちが救われたこと
のび太が彼らを救ったのは歴史の必然だったことなど
ストーリーとして非常によくまとまっていて
何より、グラフィックがこれまでの作品と段違い!
まさに、ドラえもん50周年記念作品に相応しい作品だったと思います。
一方で、私が個人的に「あれ?」と思ったところなどを、次でそれぞれあげたいと思います。
「ドラえもん のび太の新恐竜」の感想:疑問点と感動ポイントなど
今回の物語のキューとミューは、現代で化石がまだ見つかっていない、新種の恐竜。
この「新種の恐竜であること」が、物語の重要なキーとなるのですが
物語の中で、創作と研究で明らかになっている説が交錯しています。
その部分を取り上げたいと思います。
女の子のミューは風に乗って上手に滑空できるのに、男の子のキューは全然うまく飛べず
同じ種の恐竜がやっているような滑空が全くできず、バタバタと前足をばたつかせるだけ。
※ちなみに滑空とは・・
翼を固定させてグライダーのように風に乗って飛ぶ方法。
この飛び方は、高いところから落ちながら風に乗って落ちる時間を長引かせる方法のため、長時間は飛ぶことができません。
何度も何度も落っこちながら練習するのですが、飛べるようにならず、その一生懸命な健気さは、視聴者の涙を誘います・・・(TT)
しかし最後の最後でキューは、羽ばたいて飛ぶことを覚え、ついに飛べるようになります。
この様子を見て、タイムパトロールの隊員が
「空を目指した恐竜が、滑空から羽ばたきを覚え・・・」
と感嘆の言葉を漏らし、
新種とされていたキューとミューが、実は、恐竜が空に挑戦する、まさに現代の鳥類の始祖の存在であり
のび太たちがキューとミューを助けなければ鳥類は生まれず、歴史は変わっていた・・・・
ということが物語の最後で描かれます。
物語でもっとも感動するポイントのひとつです。
(ちなみに、鳥類は、恐竜の生き残りと言われています。
脚や羽に、その特徴が表れていますよね。)
しかし実際には、恐竜が空に挑戦し始めたのは、白亜紀の前の時代のジュラ期の半ばであることが、化石の発見された地層から明らかになっています。
白亜紀の時点では、滑空から進化し、現代の鳥類と同じ羽ばたく飛び方をしている恐竜は既に存在していました。
白亜紀には、現代の祖先である鳥類だけでなく、かなり多様な鳥類がおり、
見つかった化石から、白亜紀に最も栄えたのは現代とは違う種類の鳥類だったことがわかっています。
しかし、ディープインパクト(隕石の衝突による地球環境の致命的な破壊)で生き残ったのは、そのうちの「地上性の鳥類」。
地上性の鳥類は、たとえばニワトリのような飛べない鳥です。
空を飛べた「樹上性の鳥類」は、隕石衝突が原因の大規模な森林火災から逃れられず、生き延びることができなかったと言われています。
そしてディープインパクトのあと、生き延びた地上性の鳥類の中から、空へ飛ぶ鳥類が再び現れるようになり、それが現代の鳥類の祖先となった
というのが現代の有力な説です。
ではキューとミューはどうだったのかというと、その生態から、彼らは「樹上性の鳥類」だったと思われます。
上記の説に照らすと、ディープインパクトで生き延びるのは難しかったであろう種です。
この点においては、キューとミューがまさに恐竜の生き残りとなり現代の鳥類の始祖となった、
という物語の流れは、ちょっと無理があったかな?と思います。
しかし物語では、「鳥類の生き残りを、のび太たちが救って未来に繋げた」
と、綺麗にまとめていますね。
しかしここは物語の一番キモの部分であり、もっとも感動を呼ぶ部分ですので、これはこれでいいのかなと思いました。
そして、私がこの物語で秀逸だと感じた場面は、自然のシビアさと心の交流という温かさの絶妙な描写。
それを強く感じたのが、
キューとミューがついに同じ仲間と出会いを果たした場面。
ミューは彼らと飛んで喜びを表しますが
キユーは飛べないため、仲間に入ることができません。
それに気づいたのび太がキューに、仲間の元に行くことを促すのですが
仲間は、飛べないキューを同種だと認めず、鋭い爪でキューを薙ぎ払い、敵意をむき出しにして拒絶します。
キュー・ミューとのび太たちとの微笑ましい交流、ともチョコで友達になった恐竜とドラえもんたちとの交流など
恐竜が擬人化され、それまで可愛らしくホンワカと描かれていたわけですが
ここにきて一気に現実的でシビアな描写になります。
これまでのドラえもんの映画でも、異種族間の温かい交流を描きながら、時にシビアな現状にぶつかる描写はありますが
ドジっこながら一生懸命で可愛らしい存在として描かれていたキューがあからさまに傷つけられる場面は、胸に迫るものがありました。
しかし、
擬人化されて描かれる可愛い生き物は、実際は可愛いだけではない。
自然は、赤ん坊だろうが弱いものは生きられず淘汰される、シビアな世界である。
この現実を隠さず、物語を「仲良しこよし」で終わらせなかったこの描写に、「ドラえもん」の偉大さを感じます。
私個人としては、これまでのドラえもん映画作品の中でトップ3に入る作品です!
「映画 ドラえもん のび太と新恐竜」
ぜひ劇場でご覧ください!